蒼翼記
薄明かり
月のない夜、王グラジオラスの座す王聖地の泉に紅眼の男が姿を現した。
「バイアス…」
常のように泉の中心にいたグラジオラスは彼の名を呼ぶなり立ち上がり古くからの親友と同じ地に降り立つ。
そこにはライアに向ける態度よりも柔らかいものがあり、普段他の者達に向ける威厳や荘厳さはない。
「変なガキだ」
バイアスは開口一番、ムスッと報告した。
そしてそのまま面白くもなさそうに続ける。
「精神がやや不安定だがこの森で生きていけるだけの力は持っている。ま、"異端の羽付き"と呼ばれただけあると言ったところか」
「"異端の羽付き"?」
その疑問詞にバイアスが片眉を少し上げる。
「知らなかったのか?」
「"異端"は物心つく前から城に幽閉されているはず。逃げるなんてどうして考える?」
その疑問にバイアスが肩をすくめ、面白くもなさそうに言った。
「知るか。なんにせよ奴が"異端"だ。それは間違いない」
「バイアス…」
常のように泉の中心にいたグラジオラスは彼の名を呼ぶなり立ち上がり古くからの親友と同じ地に降り立つ。
そこにはライアに向ける態度よりも柔らかいものがあり、普段他の者達に向ける威厳や荘厳さはない。
「変なガキだ」
バイアスは開口一番、ムスッと報告した。
そしてそのまま面白くもなさそうに続ける。
「精神がやや不安定だがこの森で生きていけるだけの力は持っている。ま、"異端の羽付き"と呼ばれただけあると言ったところか」
「"異端の羽付き"?」
その疑問詞にバイアスが片眉を少し上げる。
「知らなかったのか?」
「"異端"は物心つく前から城に幽閉されているはず。逃げるなんてどうして考える?」
その疑問にバイアスが肩をすくめ、面白くもなさそうに言った。
「知るか。なんにせよ奴が"異端"だ。それは間違いない」