蒼翼記
呆れ気味に振り向くアキに、ずっと常のように木の葉の闇から目玉だけを見せる梟は愉快そうに言った。


「彼女はなかなかに聡明でね」

「ソウメイ…?」
「則ち知能が高いと言う事なり」



眉を潜めたアキにクロスメイアスが口添えする。
確かに、メイスフォール程まではいかなくともクロスメイアスくらいの語彙力を持つ生き物はそう多くはないらしい。


「私が話して聞かせた事はあらかた正確に覚えるようだから、こちらも愉しくなってしまうのだよ」

「そりゃびっくりだ」


二言三言雑談を続けていると、茂みから双頭の黒馬と猿の口を持つ蛙が姿を現した。

「リン…帰ってきた…か?」
「ここにいても…良いようだ」
「あのエリアに行っていたと見えるよ……行っていたと見える」


「タール!ナツメ、トーガ!」


少し離れた所から動かない彼らを不思議に思っていると、メイスフォールが柔らかく言った。


「石帝クロスメイアスにアナイトセタの赤猿達だ。
リンの友達だよ」
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