蒼翼記
一斉確認と言うのは城内に不審な点がないか、各異人類種の牢の中に怪しい物が存在しないかを確認する行事だ。


その時なら、大半の意識はそのエリアに集中するためその時間に一人二人姿が見えなくてもあまり気にされない。

人に聞かれないようにちゃんと話をするには絶好の機会だ。





「めーずらしぃーんじゃなーいかぁ〜?
チェーオが人間みーとめるなんて〜」





普通の人間には聞き取れない高さの声でオウルが話しかける。

羽付き以外の異人類種は自ら進んで城に来る者が多い。
それは異人類種への差別の為だった。

オウルも、その一風変わった風貌とその変わった喋り方から市民に煙たがられ、疎まれて来た為に、その能力を城に売りにきたのだ。


市民は"人間"。
自分は"獣"。


それが異人類種と呼ばれる人間達の常識。

普通の人間達を、好きになれるはずなどがなかった。




「あいつの目は嘘をついてなかった」



チェオは先程のガイカスの目を思い出す。

そう、自分達より弱くとも、愚かじゃないやつだっているかもしれないのだ。

解り合える人間だって、いるかもしれないのだ。






「俺達と同じ所に立とうとするやつだっているかもしんねーだろ」
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