蒼翼記
翌日―…












『只今カラァ! 一斉確認ヲ行ァウ!
各自、配置イィッ!!』



ビリビリと壁を震わせ、地響きのような声が耳に響く。

広報を主な仕事とする異人類種、『咆哮』の肉声だ。




憲兵達の足音が遠退いたのを確認すると、俺は肘から生え二の腕の横で畳んである影色の羽根を小さなものを選び、一枚抜き硬化させると廊下側の南京錠に差し込み少しいじる。

と、それはカチャリと音を立てて簡単に開いた。




廊下に出てから反対の牢にいるオウルを見ると、オウルの華奢な背が興味なさそうにうずくまっているのが見える。


チェオは何も言わず、その塔の屋上に向かった。








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