蒼翼記

他人の存在に気付きそこまできて初めて今自分がしたことを思い出し、みるみるリンの顔は赤くなっていく。


「あっわわ…ライア…っ…」

謝ろうと腕の中の少女と少し距離をとる。
ライアはリンが先程見たあたり、チェオと思しき人影を見ている。

そこ横顔には、ほんの少しの幼さを残してはいるものの、大分おとなびている。

ふと、リンはまじまじとライアを見た。



「あそこにいる人、リンのお友達?」



そう言って振り返ったライアに、リンは言葉を失った。


















"成長"しているのだ。









肩の上あたりまでだった黒髪は腰まで伸び、身体のラインも"少女"と言うよりは"女性"のようで顔立ちもリンと同じくらいに見える。




「?リンったら…」



しかしそれは確かにライアであり、自身の変化に気付いているのかいないのか、怪訝そうに黙ってしまったリンの顔を覗き込む。


何がなんだかわからなくなってきたリンは、今だ顔に熱を感じながらももう一度遠方の人影を見る。

「見てくるよ」とライアに言い残しリンはその黒髪の羽付きに近付いて行った。







ガサ…ッ
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