蒼翼記
「ライアは人間だから獣だからと区別を付けるような娘ではない」



だからこの森にいることはおろか、こうして森を統べる人間嫌いの王にまで可愛がられているのだ。



「あれにはその手の気(ケ)があるのだろうな。
人間としては未成熟なライアでさえ惹かれる気が」


『あれ』とはリンの事だろう。
淡々と喋る王の呟きに、メイスフォールは相槌を打つ。




「真っ直ぐな性根の青年でございます。人間共からヒトとして扱われず。
自分をヒトならざる者と言った認識で生活しているようです。」

「なら…我々獣と一緒だと言うのか?」





王の問いに、メイスフォールは緩やかに首を横に振った。
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