蒼翼記
「え?」

「死んだ者を生き返らせる事は不可能だが、この地はまだ死んではいない」



それが、メイスフォールがその命を使って王を守った理由。
王として、彼にしか出来ないこの役目を果たさせるため。






グラジオラスはもう一度身を屈ませ、リンの頭に手を置いた。


「その後のこの森はお前に一任する。
見放しても、そのまま住み処としても文句は言わない」



その手の平が、ゆっくりと離れる。

















「もう少し、頑張れ」














そう言い残し、先代聖王は身を翻して岩の向こうに消えた。
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