蒼翼記
「素敵な所ね」



リンの腕から出ると、ひょこひょこと辺りを歩き回る。
伸びた黒髪が背中で揺れる。



「とても不思議な所だわ」








そういってご機嫌にくるくると回りだす。




「不安じゃないかい?」

「どうして?」

「記憶がなくなってるんだろう?」




穏やかに、決して責める事なく問い掛けられ、ライアは立ち止まり、少し思案げな表情を浮かべる。


しばらくしてまた動き出した。



「平気よ。
不安なんてないわ。」


「どうして」
















「だって、私にはリンがいるもの!」
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