蒼翼記

鳥と唄い手

物心つく頃にはもう、
僕は城の地下牢にいた。





理由は、僕が『羽付き』だから。

異人類種と『羽付き』に関しては、鉄格子越しにみっちり教え込まれた。


ってことは、僕は母さんを殺してしまったんだろう。





実のところ、生まれた直後に殺した母には、記憶も、温もりも残ってないから、押し潰されるような罪の意識はほとんどない。



ただ、母の事を考えていていつも最後に考えるのは、



…―僕を恨んで死んでいったんだろうな―…









それは、

『寂しい』でも、
『悲しい』でもない。

淡々とした自責の念。




数え始めてからでも7年はこの城にいるが、変わるのは着る服の大きさと食事運びの使用人。


俺に関わらざるを得ない立場の人達は皆腫れ物に触るみたいに僕を『暴走』させないように細心の注意を払ってる。





どうやら他の『羽付き』を国の意のままにしている『薬』が僕には効かないらしい。
だからこうして普段は厳重にしまい込まれているのだ。
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