蒼翼記
「ナンバー00。時間です」
この『報生の償務(ホウジョウノショウム)』だとか呼ばれてる『仕事』。
生まれて来た事に償いをする仕事にしては、この仕事は些か皮肉が過ぎる、といつものように考えながらいつものように外に出る。
こうして毎日毎日僕は罪人を殺していくのだ。
僕に与えられた『生まれてきた報い』は死刑執行人と言うもので、まだ物事の分別もつけられないような歳の頃からさせられている。
例外を除けば僕の仕事はこれだけだった。
いつからか自分ではわからなくなった血の臭い。
囚人達は死刑を宣告されてから、軽装で突如部屋に入って来る僕を不思議そうに見ている事が多かったが、羽を見るなり皆顔色を変えた。
それは、
『恐怖』だったり、
『絶望』だったり、
『諦め』だったり、
『怒り』だったりした。