蒼翼記





処刑場の重たい門を開くと、そこには真っ白な空間がある。



継ぎ目のない広い大理石の空間の真ん中に、その囚人はひっそりと座していた。





書物でしか見た事のない極東にあると言う小さな島国の民族衣装のような前合わせの服を後ろで結んだ帯で縛り付ける簡素な衣服を着ていて、肌はその真っ白な衣服にひけをとらないほどに白い。
髪も雪のように白く、髪と髪の影は微かに青かった。


目は布で隠れているが門の開く音で僕が来たのがわかったらしい。


小さな口元が、僕に柔らかい微笑みを見せた。




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