蒼翼記
恐れられ続けた恐ろしい程に美しい翠色の瞳を伏し目がちにして、
優しく、
安らかに、
微笑んでいた。
「―っ!!」
わかっていたんだ。
自分が殺されることも、
自分を殺すのが僕だってことも、
なのに彼女は僕を怨んではいなかったんだ。
「くっ……うぅ…っ」
そう思うと、涙が抑えられなかった。
もうあの唄は聴けない。
僕が、自らの手で摘み取ってしまったから。
生まれて初めて僕は泣き、僕の目からは壊れたように涙が溢れ続けた。