蒼翼記
まわりの小隊兵達を見るとかろうじておこなう僅かな呼吸が聞こえる。

死者は出ていないようだった。


軽く片手をあげると一定の距離を保ちこちらの様子を見ていた憲兵達が駆け足にあらゆる物陰から出てくる。


「死者は出ていない。急いで治療にかかってくれ。」


あとは彼らに任せておけば問題ないだろう。

建物の中に入ると、ここ最近漂いだした空気の変化に僕は眉をしかめた。





…―戦争が、近い―…




ほとんど生まれた頃からこの城にいるせいか僕は空気の変化に敏感だった。

おそらく2日もすれば戦争の開催について連絡が回ってくるだろう。




まぁどうであれ、『薬』が効かない僕はいつ暴走するかわからないから戦争には出ないのだけど。
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