蒼翼記
握手をした後チェオは唐突に言った。




「いや、僕はいつも戦争には参加させられないから…」

「参加しない?」




僕の言葉に眉を潜める。





「僕には薬が弱すぎて効かないから城の外には出せないんだ」

「……」




チェオの思案げな顔を見て嫌な違和感を覚える。

しばらくの沈黙の後、ゆっくりと口を開いた。













「ここの廊下の何処かに、地下に繋がる隠し通路がある。
あんたの耳なら見つけられるはずだ。
最近城の連中の様子がおかしいのは俺も薄々気付いてたんだ」

「わかった。探してみる。

…でも何故俺に教えてくれたんだ?」


チェオは牢の中で苦笑を浮かべる。



「本当は俺だって、殺しなんて自分の母親だろうと望んじゃいなかった。
人殺しなんかうんざりだ」
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