蒼翼記
そう。







僕達大半の羽付きは、望んで人を殺すなんて極小数だ。



「しっかし…かの"異端の羽付き"リン・リカルドがまさかこんなに普通だとはなぁ」


ほうけたように言うチェオに僕はむっとして言い返す。


「僕をなんだと思ってたんだよ」

「冷酷非道。
冷静沈着。
天上天下唯我独尊」

「……」

「こーんな良い奴ならもっと早く知り合いたかったなぁー」


ため息混じりに言ったチェオの一言で顔が異常に熱くなる。


「な、今から俺達ダチだ」

「ダチ?」

「友達。
親友でも良いぜ?」



そういって悪戯っ子のように笑う彼を見て今度は胸が熱くなった。



「うん…ダチ、だ」

「おう」




もう一度笑い合うと、僕らは再び城の話に立ち戻った。
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