蒼翼記
と、そんな話をしていた矢先。


「…此処に。
…えぇ…いかにも。
…今夜でございますな?」

「?」



突然、メイスフォールがその場の誰に話すでもなく言葉を発した。









「かしこまりました。…仰せの通りに」






その様子を見ていて、なんとなく察しがついた。


王、だ。

おそらくは、この森の王だろう。


メイスフォールはゆっくりとその大きな眼を閉じ、そして開いてから、僕に目を向けた。






「リン・リカルド。王が御呼び立てだ」




誰も言葉を発しない中、ぱたぱたとライアが出てきた。


「ごめんライア。探索はまた今度」

「えっ?どうして?」

「此処の王に呼ばれた。許しを貰いにいってくる」




ライアは僕がまだ洗礼を受けていない事を知っている。


先送りにされてきた事がもうすぐ行われるであろうことも。
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