蒼翼記



メイスフォールはその大きな眼球をギョロリと動かししばらく宙を見ていたが、再び僕に向けられた瞳は優しげで、そしてやはり愉快げだった。





「この森の者達は気は良いが知能が低くてね。
私はライアの世話役なんだが…彼女は貴重な茶飲み友達だよ。」



なるほど、と納得していると彼は続けて言った。


「もっとも、これからしばらくはもう一人増える事になりそうだ。」

「?…あ…」




理解出来ずにいたがその物言いと彼から送られる視線ですぐ自分の事だと理解した。




やがて小走りでやって来る裸足の足音がする。



「我らと共にいる我らが花君を怖れなかったのはリンが初めてなんだ。」




それを聞いて自嘲に近い笑いを浮かべた僕にメイスフォールは怪訝そうな声をあげた。








「怖いもんか。」




彼に僕の声はどう聞こえるだろう?
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