蒼翼記
やはりライアは嬉しそうにその顔を愛らしく綻ばせた。
その顔を見るとメイスフォールは興味を失ったかのように目をつむり顔を逸らした。
これ以上は粘っても教えない。という意思のあるその仕草を見、ライアの方も諦めたようだった。
「早く帰って来ないかなぁ…リン」
そんな事を呟く彼女の視線の先から、茶色い塊が顔を覗かせた。
それに気付いたライアが声をあげる。
「ラディーっ」
呼ばれると同時、姿を現したのは6本足の兎だった。
短く丸みのある四肢に加え、肩甲骨の辺りからもう一対猿のそれにも似た腕がついている。
鼻をひくひくとさせながらラディは背から生えた腕いっぱいに草を抱えていた。
「ラディね、草、持った来た」
舌足らずな幼な声はたどたどしい調子でそれだけ言うと、ライアの膝にそれを置いた。
「いつもありがとうラディー」
笑顔を向けると照れたのか背中の腕でその長い耳をいじりながらその身をよじる。
ライアは気を紛らわす為にその薬草の癖の強い香りを吸い込んだ。
その顔を見るとメイスフォールは興味を失ったかのように目をつむり顔を逸らした。
これ以上は粘っても教えない。という意思のあるその仕草を見、ライアの方も諦めたようだった。
「早く帰って来ないかなぁ…リン」
そんな事を呟く彼女の視線の先から、茶色い塊が顔を覗かせた。
それに気付いたライアが声をあげる。
「ラディーっ」
呼ばれると同時、姿を現したのは6本足の兎だった。
短く丸みのある四肢に加え、肩甲骨の辺りからもう一対猿のそれにも似た腕がついている。
鼻をひくひくとさせながらラディは背から生えた腕いっぱいに草を抱えていた。
「ラディね、草、持った来た」
舌足らずな幼な声はたどたどしい調子でそれだけ言うと、ライアの膝にそれを置いた。
「いつもありがとうラディー」
笑顔を向けると照れたのか背中の腕でその長い耳をいじりながらその身をよじる。
ライアは気を紛らわす為にその薬草の癖の強い香りを吸い込んだ。