蒼翼記
「なるほど、主は『羽付き』であったか」

「あんた知ってんのかい?」

巨大を横たえ、石帝クロスメイアスは頷く。
彼の腹を背もたれにして座るリンはアキ達のとってきた木の実を頬張っていた。

「以前我が師、賢者メイスフォールが話していた事があった」
「メイスフォールを知ってるの?」

思いがけず出てきたその名に振り返ると周りにいた猿達がケタケタと笑った。

「この森で奴を知らない奴はいない!」
「「皆知ってる!」」
「メイスフォールはこの森で最も頭の良い存在さ。あたしらの知識は全てあいつの受け売りと言ったって言い過ぎにはならないよ」


確かに、会話の端々にその知性は見え隠れしていたように思える。

「じゃあ…ライアは?」

予想していた通りと言うべきか、返答はいともあっさりと返ってきた。

「花君だろう?知ってるともさ」
「「当然だ!」」
「王に『洗礼』を言い渡されなかった唯一のヒトの子!」
「「初めてのコトだ!」」

「花君には不可思議な力がある」
「力?」
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