†シークレット・ラブ†

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「変わらないなぁ…」


久しぶりにこの場所に来た。

喫茶店から少し離れた静かな住宅街の中にあるチッポケな公園。


あの雨の日

そう…僕が小学生の低学年だった頃の、あの日…


僕はこの公園に来ていた。


大好きだった祖母の葬儀が終わり

祖母にもう会えない寂しさを抱えながら

離れて住んでいたから、盆や正月にしか行けなかったが、祖父母の家に遊びに行った時に、よく連れて来てもらった、この公園に

1人でブランコに乗っていると、祖母の優しい声が今にも聞こえてきそうで…


寂しさで、胸が締め付けられ

いつの間にか降り出した雨が心までも冷たく濡らした。


知らず知らず流れてきた涙が止まらなくて

どうすることもできずにいると気付いたら

小さな可愛い女の子が1人

赤い傘を僕にかざして

「なかないで」と優しく微笑んでくれた。



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