†シークレット・ラブ†
荷物を全部運び出し、鍵を閉めるだけになった、誰もいないこの部屋を。俺はただボーと見つめた。
もう…この部屋に来る事はない。
祥子との思い出は、今も大切に俺の心の中にある。
いつか…もしもどこかですれ違ったら
笑顔で「元気か?」と言えるか?
まぁ…、アイツが俺に笑いかけてくれたならの、話だがな…。
俺は、確かに…アイツを…祥子を愛していた。
そして…今もアイツを愛している。
愛しているよ。祥子。
だから…幸せになれ…。俺から泣かされた分だけ
幸せになれよ。
「さよならだ…祥子」
心の奥深くに祥子との思い出を閉じ込めるように扉を閉めて
永遠に開かない鍵をかけた。
開ける鍵など、なにもない。鍵を。