少女のヴァンパイア
ファイはなにかの気配をすでに感じとっていた。
そしてシュリーを安全なところに連れて行こうと部屋に向かっていた。
ファイが通っていた場所には、
ファイに殺られた者たちが塵となっていた。
―…何故突然…グレン様がいない時に…!
そう思いながらファイは今戦っている相手に聞いた。
「何故ここにいる?」
相手はニヤリと笑いこたえた。
「あるおかたに頼まれたのだ。『シュリー=ブラウンを持ってこい。』とな。」
「そうか。」
ファイはそういうと目の前の敵は塵となった。
あとかたもなく、
塵となって消えてゆく。
これがヴァンパイアの死にかただった。
ファイはシュリーの部屋に急いだ。
―…嫌な予感がする。
扉を開けるとシュリーはまだ寝ていて、
その脇にはひとりの男がたっていた。
「……っ!」
ファイは動けなかった。
体が金縛りにあったように全く動かない。
額からは冷ややかな汗が流れる。
「もう少しだけそこにいてくれるかな?
僕がシュリーの血を飲むまで。」
男の声は優しい口調だがグレンと同じぐらい冷たい音色だった。
"グ…グレン様…!"
体が動かないままファイは必死にグレンを呼んだ。
その間にも男はシュリーの髪を梳いていた。
「シュリー…逃げられると思ったのか?」
シュリーは眠り続けているが、
とても苦しそうに顔を歪めていた。
"グレン様…早く!"
"ファイ!?"
グレンが普段と違うファイにただならぬ気配を感じた。
グレンは急いで帰ることにした。
「グレン様。どうかされましたか?」
ラントが何処かへ行こうとしているグレンにいった。
「屋敷でなにかあったみたいだ。
今から帰るぞ。」
そういってグレンは扉へ急いだ。