少女のヴァンパイア
シュリーは、
もしかしたら…
と心のどこかで言っているのがわかり、
苦笑いする。
『さっきね?
あっちで綺麗なお花畑を見つけたの。
母様、一緒に見にきて?』
と言って、
女の子は『母様』と呼んだ人の手を引っ張った。
『そんなに急がなくても大丈夫よ。
ゆっくり行きましょ』
ふたりは微笑んで、
女の子が来た道を歩いて行った。
とても仲の良さそうな親子…
親の愛情をしらないシュリーでもわかる、
あの女の人が女の子に対する愛情の優しさが伝わってくる。
シュリーは、
大切にされているあの少女を羨ましく思う。
――駄目。あそこへ行かせては駄目。
突然シュリーの目の前に、
黒い服をきた女の子が現われた。
驚いたシュリーたが、
歩いて行ったふたりを見る。
ふたりは微笑んだままで、
楽しそうだった。
「どうして…行っては駄目なの?」