少女のヴァンパイア
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キルギスは紅茶を一口飲んだ。
「私がリーフと結婚する前の名前って知ってる?」
その問いにグレンは頷く。
「キルギス=ナイトレ。
旧姓キルギス=ブラウン……」
グレンが言うと、
キルギスは軽く微笑んだ。
「さすがね。」
キルギスはまた紅茶を飲む。
ふたりの間に沈黙が走った。
「それとどういった関係があるのですか?」
たまらずにグレンが聞くと、
キルギスは昔を見るように
窓の外に見える空を眺めた。
「私達、ヴァンパイア元帥で一番強い者と言われた人の名前は知ってる?」
その問いにもグレンは頷いた。
だが、
今は先程のようにグレンが答える前に
キルギスが言った。
「最も最強と言われたその人は……私の兄だったの。」
キルギスの目線は外にあった。