少女のヴァンパイア
屋敷についたグレンはもうひとりの召使のファイを呼んで、
少女を風呂に入れるように命令した。
少女の体は凍えきっていて、
風呂に入れている時でさえ少女は動かなかった。
ファイは少女に服を着せるとグレンのもとへ連れて行った。
グレンは居間にいて、ワインを飲んでいた。
「今日は血を飲まないのですか?」
ファイが少女を抱き上げながらグレンにいった。
グレンはファイに少し苦笑いを見せた。
「今日は血を飲む気にはなれなかったんでな。」
そう言ってまたワインを一口飲んだ。
ヴァンパイアの彼にとって血は主食。
それ以外は口にしないと言っても過言ではない。
「この少女をどうなさいますか?」
「俺の部屋にでも置いて置け。」
ファイが礼して居間をでようとすると、
今まで黙ってたラントが驚いた口調でグレンにいった。
「このどこの者かも知らないよそ者をグレン様の部屋に置いて置くのですか!?」
「あぁ。そうだが?」
ラントの言葉に素っ気なくグレンはこたえた。
「ですが…「俺に口答えするのか?」
ラントがまた反論しようとしたのをグレンがとめた。
「申し訳ございませんでした。」
グレンの言葉にラントは謝るしかなかった。
グレンの力がラントを動かなくしていた。
「ファイ、早くその少女を連れていけ。」
ファイは黙って礼をすると居間からでていった。