少女のヴァンパイア
「ひとりで何をしているの?
お嬢さん。」
シュリーは声も出せなかった。
そしてシュリーはある事を思い出した。
この男が…あの男と重なった。
グレンによって消された記憶が、
この男によって思い出されたのだった。
「…い…や…」
これがシュリーのでた初めての言葉だった。
「何をそんなに怯えいるのだい?」
男はシュリーの髪を触った。
シュリーは数歩後ろに下がった。
男はなにか気付いたように、
またニヤリと笑った。
「もしかして…俺がヴァンパイアだってしっているのかい?」
そりゃ、光栄だ。
と男はいい、
シュリーに牙を見せた。
シュリーはその場から、
動けなかった。
―…だれか助けて…
「グレン様…」
シュリーは意識が遠くなるのを感じた。
そして、
自分がグレンに助けを求めているのもわかった―……
シュリーの意識はそこで途切れた。
最後にグレンの声が聞こえた気がした。