少女のヴァンパイア
シュリーは夢をみた。
夢の中のシュリーは
小さくくるまっていた。
もしかしたらこのシュリーは
本当のシュリーではないのかも知れない。
だってシュリーは
小さくくるまっているシュリーを
そばでずっとみているだけだったのだ。
シュリーが声を変えようと
手を伸したら、
景色が変わった。
真っ暗な世界から、
白い温かい世界にシュリーはいた。
うずく待っていたシュリーはいなかった。
その変わりどこか懐かしいような…
温かい声がした。
――シュリー…愛しのシュリー…
大きくなったわね。
その声は女の人で、
聞いたことがある気がするのに思い出せない。
「あなたはだれですか?」
シュリーが問い掛けると
シュリーの目の前に
白い女の人の影が現われた。
だが、
その影は輪郭が分かるだけで、
顔は分からなかった。
白い影はなにも話さず、
シュリーをみているだけだった。