あたしの必需人
病人と必需人
次に瞼を開けたときも、時計は10時を示していた。
しかし、窓からは明るい陽の光が差し込んでいる。
きっと、あたしは12時間眠っていたのだろう。
なんだか頭が重いような気がして、手で頭を触ってみた。
そこには、あたしの手よりも骨っぽくて大きい、あたし以外の誰かの手があった。
「あ、ごめんな。俺触ったから起こしたかも。でもまだ熱ありそうだから寝とけ。」
必需人は、自分のおでこにあてた右手とあたしのおでこにあてた左手を同時に離した。
本当は、もう少しそのままが良かったよ。
必需人の手に触れたとき、あたしの中に必需人が入ってきた気がしたから。安心したんだ。