あたしの必需人
「沙那〜!俺ー!」
必需人があたしの名前を呼んでいる。
あたしはすぐにドアを開ける。
そのときにあたしの口から出る言葉は、「来てくれてありがとう」じゃなくて、「遅いよ」。
必需人は、ちゃんと時間よりも早く来てくれているのに。
でも、必需人はそれについては何も言わない。
「ドアを開ける前に、誰か確認してからって言ってるだろ?」
何事もなかったように笑って言う。
あたしは何も言わない。