君に伝えたい
あたしは席について、トレーニングの帰り際に審査員長がくれたiPodを取り出した。
なかにさっきのCDの曲が入ってる…。
「あれ?お前iPod持ってたっけ?」
「さっき貰ったんだ。あたし歌うたうから曲覚えなきゃ。」
「は!?歌う!?マジ!?」
「売り込んだりするんだって。がんばんなきゃ…」
それからは流れ出す曲に全神経を集中した。
ここはさっきの繰り返しで………。
ここのメロディは綺麗に唄いたいな…。
ここにギターが入ってきて…。 一番の盛り上がり部分だ。
「おい。美咲。」
「………。」
「おい!!」
「………。」
ここはスローになるのかな…。
声の高さはどんくらいだろ…。
夢を叶えて。あたしはハルの隣まで上がっていく。
あたしの歌が。声が。
ハルの背中を押してくれたら嬉しい。
あたしがんばる!!
全身全霊をかけて。がんばるから………。
その時は、君が笑ってくれるといいな………。