君に伝えたい
夏生
「…美咲!。」
「…………。」
「…………」
美咲の反応がない…
音楽に夢中になってんのは分かる。
でも、何でそんなに頑張んだよ…?
「………美咲………」
「…………何~?ハルー。」
「…………は…?」
「…ん!?あ、何!?夏生!」
……『ハル』
美咲は、今何を見てんだよ……
「……っ何でも…ねぇ…」
「?…ふーん?」
そう言って、また直ぐに曲を聞き出す。
……俺なんて、見てない…
「…………ははっ…!。」
…そうかぁ。
美咲はその曲を通して。もう居ないヤツを見てるんだな…
「…………。」
「何で…?」
「…………。」
「…っ何でだよ……!……。」
俺は椅子の上でうずくまった。
もちろん。美咲は気付かない。
「……っ、いつまでソイツを見てんだよ…!。」
「…………。」
……分かってる。
まだ美咲が、ハルキを好きな事くらい。
分かってる。
だって…………、
……『ハルキ』――
あんなに愛に溢れてるんだ。
美咲の想いは。
そんな声。俺にはいってくれないもんな…………。