君に伝えたい








でも。少しだけ期待したんだ





俺の事、意識してくれるかもって……









……ハルキ…





お前。何してんだよ…




何で居なくなったりなんかしたんだよ……



ハルキが居ないと、俺はこの恋を諦めきれない……






「はーい。授業始めんぞ~!席つけ~!」





――ガタガタッ……




バーコードが(先生)やって来て。散らばっていた人達が席につく。


俺も自分の席に戻った。





そして日直が号令をかけた。



「きりーつ!。」



――ガタッ。




「……おい、鮎原!!」


「…………。」


「鮎原!!聞いてるのか!?」


「……ぁ……え?…」


「とっとと立て!いつまで座ってんだ!!」


「あ、はい……ごめんなさい…」





やっぱり、


美咲は号令に気付いてなかった。





夢中になってるんだろ?




だって、夢を叶える為の階段を。美咲は一気にかけあがったんだから。






…………審査用のテープ、



あれは、三人で一緒にカラオケ行ったときにアカペラで歌って貰ったんだっけ……



美咲は覚えて無いみたいだけど……





ハルキがトイレに行ってるときに審査を思い出して、サッと撮ったんだ…………





その時に。初めて美咲の素の声を聞いた。



とっても綺麗で、一瞬にして世界が変わったんだ。





美咲は適当だって言ってたから。審査の時はどれだけその能力を発揮したんだろう…………







……少なくとも、






俺がどれだけ『歌手』って夢を舐めてたのか、はっきりと魅せつけられた。





あんなに、美咲の夢が重いだなんて。知らなかったんだ





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