君に伝えたい







――…………。
……――――――。




「……美咲、ずっと音楽聞いてるね…」

「あぁ……」




今は放課後。



皆が帰る準備をしている中。美咲は独りだけ席に座って黙っている。





……それが、俺を惨めにさせるんだ。





もっともっと。俺を焦らせるんだ……。








「……歌手…ねぇ…」



「え?」



「なぁ…、…………俺って。一体なにが出来るんだろな…」


「…………」






ハルキはモデル。








美咲は歌手。








俺は……。このままでいいんだろうか…




何も見つけず、何も探さず。




自分の夢を持たずに、適当に生きていくのだろうか










…………そんなの。嫌だ






どんなに重い夢でも、




それを持っていきたい。







俺の夢は

必ず見つける…………







だから。それまで待っててくれ







いつか、お前らの夢物語に登場してやるからさ







…俺はまだ。夢を持てるほど決心が強くない。





好きなものも、分からない。








だからこそ、俺は夢を見てる。




お前らの大切な夢を、

ずっとずっと。見つめてるから。









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