君に伝えたい






□■□■ 美咲 ■□■□





…♪…―~♪




ゆったりとした音楽を、もう50回ほど頭の中で繰り返している。



――ガチャッ






「………………」



「あら、美咲帰ってたの?ただいまくらい言いなさいよ」



「…………」



「美咲?」



「……あ、ごめん。ただいま……」





ってか、ここどこ……




見渡すと、馴染みのあるリビング……




あ…、自分の家だ……!



いつの間に帰ってきたんだろう…



さっきまで夏生と帰ってたハズ……







「……ま、いっか!」





この時、あたしは何を見ていたんだろう。





……夏生が居ないわけじゃない。



見てなかったわけじゃない。






ただ、ハルの存在が大きすぎた。







今まで見つめていたハルが居なきゃ、あたしは何を見ればいいんだろう






……何でか分からないけど。





あたしは、まだハルを見つめている、







何故、夏生を見なかったんだろう。




あんなにも傍に居たのに。あんなにも大切なのに。







…………どうして、ハルを探してしまうんだろう。





夏生は、ずっとあたしを見ていたのに…………






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