君に伝えたい






……あたしが見ているハルは。あたしの世界を作ってくれていて。





「……ハル…」





何よりも。誰よりも。かけがえのない存在なんだ。






だから。見逃す事なんてできなかった…。




……夏生を通り過ぎてでも。あたしはハルを追いかけたかったんだ。





「……ふんふーん♪」




今回歌う唄。




やっぱり、バラードで哀しい唄……、





今度は、離れていく。





傍に居てくれた。たった1つの笑顔が。





どんどん消えて、壊れて。戻らなくなってしまう。






「………………っ!」






……行かないで、と、あたしは手を伸ばすけど。




その手が引かれる事は無い。



あたしはただ。見ることしか出来ないんだ




離れていくのを。ただ……。









「…………!……」




っ気付くと。涙がでてる……。





目を閉じただけなのに。涙が、ツーっと頬を伝っている。






「…………?……」




………………そう。









……見えていなかったわけじゃない…







ただ。見逃していたんだ。










< 126 / 178 >

この作品をシェア

pagetop