君に伝えたい
「…………ぇ?……」
あたしは小さく呟いた。
夏生……好きな人、居るんだ……
初めて聞いた夏生の恋愛話。
『アイツ』って誰だろ?
何か、ずっと一緒に居たのに……教えてくれなかったのはショック………………
「っ……そっか…ごめんなさい…」
「………………」
そう言うと、女のコは走って逃げてしまった。
あんなにカワイイ仔ふるなんて……
夏生の好きな人ってどんだけカワイイんだ?
……ま、あくまで他人事だよね…。
気まずい雰囲気の中、夏生は普通にあたしの方にきて。
「……美咲。行くぞ」
「え、あ、うん?」
涼しい顔であたしの首に腕を回してきて。グイグイと引っぱられた。
……そんなあたし達を見ていた野次馬が………………
「……ねぇ。夏生君の好きな人って…もしかして鮎原さん?」
「やっぱ!?なんかヤケに仲良いよね~」
え?何?
待った…、いやいやいや……
「はい…??」
ぬぁっ!!
ちょっと変な声出た!!
恥ずかしっ!!
っじゃなくて………………
「それは無いです。」
「嘘だ~。だって今も凄いくっついてんじゃん!」
「いえ、コレはいつもの事で…………」
「な~んかヤダ~!!夏生君取られちゃった~!!」
話聞けよこのバカ……