君に伝えたい





「とっとと行くぞ…」




グイッ





夏生はあたしの手を引き歩き出した。





それにつられて、あたしも足を動かす






「あ、ちょっと!何処いくの―!?」


「詳しく教えてくんない!?…ってか、裕也って鮎原さんの事好きじゃなかったっけ!?」


「お、おいお前…!」





再び騒ぎだした野次馬の女子が、近くでずっと黙っていた男子に話し掛けた。





そのやり取りはあたし達の所まで届いていて…………






「……あ゛?…」





夏生が立ち止まり、不機嫌な声と共に振り返った。






そして、あたしを引っ張りながらゆっくりと裕也という人に近寄っていく。






「えっと…その……」



「…あ゛?何だてめぇ。」



「…………べ、別に…」

「裕也って鮎原さんが好きなんだよ~!!」





裕也って人を遮って、女子が発言する。




「え…………」


「なんか~前から好きだったんだけど、ハルキ君が居るからテ出せなかったらしいよ~」


「………………」





……この人が、あたしを?





あたしはチラッとその人を見た。



「………………」




目が合っただけで。顔を赤くされた。




どうやら……ホントなのかも








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