君に伝えたい






壁を作った時、あたしは。わざとらしい穴を開けていたんだ。





穴はとても小さくて……、でも。その穴がこの壁にある唯一の欠点だった







「……ハル…」





その穴を覗くと。君がいたんだ。




壁の向こう側には、笑顔の君が居たんだよ……





「……ずっと…一緒に、居たい…………」



「……あ、鮎原さん!その、俺…!付き合おうとか思ってないから!」



「……っほん、と……?」



「当たり前だろ!……それより、ごめん…!…神山の事思い出させて……鮎原さんは…こんなに神山が好きなのに…。」


「………………っ」


「離れてても、神山の事好きなんだろ?……でも、俺は鮎原さんが好きだからっ、…今は無理だけど、頑張って忘れ……………」



「……ごめん……なさいっ。やっぱりあたしは……ハルが好き……」



「……あぁ!知ってる!」






こんなにも優しい裕也君に、申し訳なくなった




だから余計。涙が止まらない









……ハル







壁の壊しかたは。あなたが教えてくれた、





………………穴が欠点だった。





でも穴から壊そうとすれば……、


どうしてもあなたを見つけてしまう…





それが怖くて、壊さないでいたの…………





今のハルに、追い付けるわけがなかったから……





壊してしまったら。

眩しすぎる君が居るんだって思うと…………




何にも出来なかった…………





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