君に伝えたい

掻き消される。






【美咲】







あたしはあの場所に取り残され。苦しかった





「………………」






周りから来る。好奇心の目。





特に女のコって噂が大好きだから。コレをきっかけに変な噂を作られちゃうかも………………






どうすればいい?






このまま、立ち去ればいいの?






「………………じゃ」




ここに居ても意味無いしな……





あたしは覚悟を決めて歩き出そうとした。





すると……






「鮎原さんさぁ…何がしたいの?」


「え………………」

「そうよ。ハルキ君と夏生くん、どっちかにしなさいよ」







どっちかにする……?





……何が?






「あの……」



「可愛い顔してるのは認めるけど。優柔不断は駄目でしょ~。」



「いや、その…………」



「正直。アンタむかつく。いい気になってんなよ」



「……何が………」


「うっさい。早く消えて?気分悪いわ~」












………………ねぇ。

ハル






世界で掻き消された声は……どれだけあるのかな。






伝わらなかった想いは、どれだけあるのかな……





「……あ、の…………違っ」


「消えてってば」


「………………っ」






伝えたいのに伝わらないもどかしさ。







全て。消されてしまうんだ…………






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