君に伝えたい
「……俺、スカウトされたんだ。」
何も喋らないあたしの替わりに、ハルが口を開いた。
「……スカウト?」
「そう、『モデルにならないか?』って」
まだ下を向いて話すハル。
スカウト………、
ハルなら当たり前か。
こんなにカッコイイ人、事務所の人が見逃すわけがない。
「………それから、俺、転校するから」
――ドクンッ――
「えっ………?!」
「一応、芸能界に入るわけだから、芸能クラスがあるところに行くんだ。」
そう言ってやっと顔を上げたハル。
でも、あたしが泣いているのを見ても何の反応もない。
少しだけ、眉毛がピクッと動いたぐらいだ。