君に伝えたい
■□■□ ハル □■□■
どこかで寝ようと思って、この前美咲が昼寝していた裏庭に足を運んだ。
………でも、やっぱ行かなきゃよかった
夏生と美咲が、抱き合ってるのを見てしまったから。
「………美咲?」
「………え……?」
俺が声を掛けると、美咲は夏生からバッと離れて、下を向いた。
――ズキン………
胸がズキンと痛む。
………美咲は、俺の声を聞いただけで俺だって分かってしまう。
つまり、下を向いたのは俺の顔を見たくないから……。
夏生と抱き合ってる所を、俺なんかに見られたくないからだ。
「………ハルキ」
夏生がボソッと呟く。
その言葉に、美咲はピクッと動いた。
「………お前ら、何してんだよ……?」
「………………っ」
俺の心臓は、あり得ないくらいに興奮していた。
……美咲は、夏生の事が好きなのか?
……実は、俺の知らないところで付き合ってたのか?
嫌な考えが頭のなかでこだまし始める。
………でも、ホントは分かっていた。
何年一緒に居ると思ってんだ。
美咲はきっと、夏生に相談でもしたんだと思う。
それで、気持ちを落ちつかせるために、少し慰めてもらってるだけなんだろう。
そう分かっているのに…
美咲が男に抱き締められてるのを見ると、嫌で嫌でたまらなくなってしまうんだ。