君に伝えたい
「………………俺、先に教室戻ってるわ」
そう言って、
夏生は美咲の頭をクシャっと撫で、優しく微笑んでいた。
…………夏生。
何でだよ………
何でそんなに…、俺に気使うんだよ
「………悔しいな~」
「えっ………?」
「………ん、何でもねぇよ…がんばれ」
夏生はそのまま裏庭を出ていってしまった。
夏生っ…
ごめん。
お前は…
「………………」
「………………」
――ドクンッ………
続く沈黙とは裏腹に、動揺を隠せない俺の鼓動。
「……ごめんな?」
「え……?」
色んな想いが詰まった謝罪だった。
夏生…、
ごめんな?
ごめんな?
突然謝ったからビックリしたのか、美咲は俺の事を見つめてきた。
――ズキンッ………
………思わず目を逸らしてしまった。
夏生を
傷付けたくないんだ…。
ごめんなさい…。