_残酷すぎるキミ_[短編]
「・・ごめん。いやだった?」
そう言って、切なげな表情を私にのぞかせてくるものだから…
「いや、ではないけど…」
私はそう言ってしまったんだ。
それに、この男からしたらキスなんてもの、あいさつ程度にしか過ぎないのだろうから。
「そっか~。よかった!あっ、俺の名前は…」
「日向でしょ?」
私は彼の言葉にかぶせて言う。
「なんで知ってるの?」
キョトンとした顔で私に聞く彼。
そりゃあそうか。
この学校は一学年が12クラスもあるという超マンモス校。
それに、私達は一年生っていうのもあってほとんどの人の名前を知らないのが当たり前。
って、彼は言いたいのだろう。