【短編】君を想う
「ご注文どうぞ」

そうこうしているうちに、店員がやって来た。


「カルボナーラとエビグラタン。アイスコーヒーと……飲み物は?」

「……アイスレモンティー」

小さく答える千鶴。


今日はガッツリ、って気分だったけど仕方ない。


「俺、カルボナーラな」

どちらかと言えば量の多そうなカルボナーラを予約。

「……ありがと」


困ったような、照れたような顔の千鶴ににっこり笑いかけた。



なんとなく外を眺めていた時、

「ねぇ?」

と、呼びかけられた。


視線と意識を戻すと、何やら言いたげな千鶴。


「ん?」

「修ちゃんさ……、彼女とか、いないの?」




…………は?


あまりに予想外だった言葉に、思わず詰まってしまった。


いきなりなんだ?

どうしたんだ?


俺はあまりにビックリした顔をしていたらしい。


「や、別に、深い意味はないんだけど……。じゃあ、好きな人、とかは……?」

慌てたように言葉を取り繕う。

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