【短編】君を想う
DVDを観るのに何か飲み物でもいるかと思って、コンビニに寄ることを提案してみた。
そうしたら行きたいコンビニがあるらしく、駅前まで戻ることになった。
俺のすぐ後ろ、カバンの紐をつかんで歩いてたはずなのに、急に後に引っ張られた。
「千鶴?」
振り返ると、千鶴は紐をつかんだまま立ち止まっていた。
「どうした?」
声をかけても答えることなく一点を見つめたまま。
不思議に思いながらも、俺もその視線を辿った。
「……智明?」
視線の先には智明の姿。
それと、その隣には──知らない女。
呆然をその光景を見ている千鶴の意識を戻して、コンビニに向かった。
千鶴は何かを吹っ切るようにカップデザートをカゴに入れていく。
……とても考えて買ってるようには思えない。
ほっといたらすごい数になりそうだったから、半ばカゴを取り上げるようにして会計を済ませ、コンビニを出て家に帰った。