【短編】君を想う
でも、一度口にしてしまったら、もう止めることが出来なくなっていた。
隣に座り、手を重ねて、その手を自分に引き寄せた。
「まっ……待って……!」
腕の中にいる千鶴がもぞもぞと動く。
柔らかな感触がなくなってしまわないように、回した腕に力を込めた。
「もう待たない」
やばいな……。
離したくない。
肩に埋めていた顔をふと上げると、地上が近づいていた。
このままじゃ、まずいよな。
でもやっぱり離れがたくて。
耳や首筋にわざと音を立ててキスをした。
「お帰りなさーい!」
テンションの高い声と共にゴンドラのドアが開けられた。
「残念」
本気と嘘、半々の気持ちを込めて、最後に頬にキスを落とす。
手を繋いでゴンドラを降りると、千鶴は赤い顔をして、もう片方の手で頬を押さえていた。
少しだけ溢れてしまった俺の思い。
でも、どうにかしようと思ってるわけじゃないんだ。
千鶴が笑っててくれることが一番の願い。
それは、俺の手じゃなくても構わないんだ──……。
隣に座り、手を重ねて、その手を自分に引き寄せた。
「まっ……待って……!」
腕の中にいる千鶴がもぞもぞと動く。
柔らかな感触がなくなってしまわないように、回した腕に力を込めた。
「もう待たない」
やばいな……。
離したくない。
肩に埋めていた顔をふと上げると、地上が近づいていた。
このままじゃ、まずいよな。
でもやっぱり離れがたくて。
耳や首筋にわざと音を立ててキスをした。
「お帰りなさーい!」
テンションの高い声と共にゴンドラのドアが開けられた。
「残念」
本気と嘘、半々の気持ちを込めて、最後に頬にキスを落とす。
手を繋いでゴンドラを降りると、千鶴は赤い顔をして、もう片方の手で頬を押さえていた。
少しだけ溢れてしまった俺の思い。
でも、どうにかしようと思ってるわけじゃないんだ。
千鶴が笑っててくれることが一番の願い。
それは、俺の手じゃなくても構わないんだ──……。