【短編】君を想う
彼女の虚勢
さっきの店は地元の駅と次の駅の間くらいにあるらしい。
……そんなに歩いたつもりはなかったんだけど。
俺たちは、次の駅まで歩いて、近くのファミレスに入った。
俺は和定食、彼女はドリアを注文した。
……どうして女ってこう、クリーム系が好きなんだろう。
「なんだか私服だと私と同じくらいに見えるわね」
向かいに座った彼女はそう言って微笑んだ。
それって、いくつに見えてるんだろう。
桜井さんも夜用のメイクなのか、図書館で見た時よりも上に見える。
しかも雰囲気まで違って見えた。
「和泉くんは何年生?」
「2年生です」
「そう。私、25なの。こう見えても」
「へぇ。見えないですね」
「ありがとう」
……何だろう、この展開。
何で俺、この人と飯食ってんだろう。
「よく図書館来てるわよね?」
「えぇ、まぁ」
「好きなの? 図書館」
「まぁ、はい」
……何でこんな尋問みたいなんだろう。
「彼女、いるの?」
「いないですよ」
そうこうしていると、注文した品が運ばれてきた。