【短編】君を想う
「……え?」

「どうせあなた、飲めるんでしょ? うちで飲まない?」

「…………」



そういうことか。

高校生たぶらかして遊ぼうって。


そんなことするようには見えないんだけどな。

……人は見かけによらないってことか。


んー、でも困った。


これからも利用するであろう図書館の人だしなぁ。

変に拗れて行きにくくなるのは避けたかった。




「別に割り切れば良くない?」

まぁ、そう言われればそうなんだけど。



でも、この手のタイプは初めてだからちょっと戸惑った。



今まで近寄って来た女はだいたいチャラチャしてケバい感じ。

しかも俺の素性を知らない女だった。



だけど、この人は少なくとも俺がN高生だってことを知っている。

一応進学校だから、そういうリスクは避けておきたかった。




「色々考えすぎよ。難しい顔してる」

そう言って彼女は、自分の眉間に指を当てた。



「わかりました」

その言い方がなんだかバカにしているような気がして、思わず同意してしまった。



「じゃ、行きましょうか」

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