【短編】君を想う
それからの行動は早かった。

地元の駅をいくつか過ぎた所で降りると、コンビニで酒を買って彼女のマンションへ向かった。

緑に囲まれた静かな場所にそれはあった。




「入って」


オートロックを解除して、エレベーターで5階に上がる。

降りて左に曲がって3つ目のドアが彼女の部屋だった。

1LDKの部屋。

女の一人暮らしには十分だろう。




「適当に座って」

そう言われ、ラグに座った。



前にはガラスのローテーブル。

この部屋にソファはなかった。



彼女はローテーブルにコンビニの袋を置くと、グラスを持ってきた。

「缶から直接ってのもね」

そう言って買ったばかりのビールを注ぐ。


「じゃ、乾杯」

グラスをカチッと合わせ、それをあおった。



……何でこんなことになってんだろう。


つい最近、名前を知ったばかりの女の部屋で、何で酒を飲んでるんだろう。




「あなた、モテるでしょ」

さっさと飲み干して、自分で2杯目を入れようとしているから、奪い取って注いでやった。


「そんなことないですよ」

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