【短編】君を想う
「あっ、あの……和泉、です」
『……え? ど、どうし……』
「あー……、柏木さんに、届け物、頼まれて……」
何でだろう、うまく言葉が出てこない。
『あ、今……開けます』
その言葉とほぼ同時くらいに、ガチャッと解除の音がした。
俺はそのドアを開けて、エレベーターに乗り込んだ。
5階へ上がり、左に曲がって3つ目のドアをノックした。
出てきた彼女は、やはりさっきまで寝ていたのか、パジャマにパーカーを羽織った姿だった。
当然だけど化粧はしてなくて、青白い顔をしていた。
「具合悪いって……柏木さんが。あの、大丈夫ですか?」
「ちょっと、風邪引いちゃったみたいで……。大したことないんです」
彼女と会うのは今日で3回目だけど、全部印象が違う。
「あ、どうぞ……」
「でも……」
部屋に入ることを戸惑っていたら、後ろの方で空がゴロゴロと音を立てた。
「雨、降りそうだし……」
「……」
それでもまだ躊躇していた俺だったけど、具合の悪い彼女といつまでも立ち話をしている方がもっと悪くなってしまうと思って、部屋に入ることにした。
『……え? ど、どうし……』
「あー……、柏木さんに、届け物、頼まれて……」
何でだろう、うまく言葉が出てこない。
『あ、今……開けます』
その言葉とほぼ同時くらいに、ガチャッと解除の音がした。
俺はそのドアを開けて、エレベーターに乗り込んだ。
5階へ上がり、左に曲がって3つ目のドアをノックした。
出てきた彼女は、やはりさっきまで寝ていたのか、パジャマにパーカーを羽織った姿だった。
当然だけど化粧はしてなくて、青白い顔をしていた。
「具合悪いって……柏木さんが。あの、大丈夫ですか?」
「ちょっと、風邪引いちゃったみたいで……。大したことないんです」
彼女と会うのは今日で3回目だけど、全部印象が違う。
「あ、どうぞ……」
「でも……」
部屋に入ることを戸惑っていたら、後ろの方で空がゴロゴロと音を立てた。
「雨、降りそうだし……」
「……」
それでもまだ躊躇していた俺だったけど、具合の悪い彼女といつまでも立ち話をしている方がもっと悪くなってしまうと思って、部屋に入ることにした。